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Report活動報告

神奈川県議会 令和2年第1回定例会 本会議 質問要旨・答弁・要望 記録

菅原あきひと

令和2年2月25日(火)

菅原 あきひと 議員(会派 立憲民主党・民権クラブ) 本会議 一般質問

 

(質問要旨)
1、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略における合計特殊出生率向上のための取組みについて

 

 2014年以降、本県の総合人口は自然減が続き、合計特殊出生率は全国を0.1ポイント程度下回る傾向が続いている。そうした中、本県では2020年度からの第2期総合戦略の策定を進めており、合計特殊出生率の目標として、2024年に希望出生率の1.42を目指すとしている。
 昨年9月、我が会派の代表質問において、知事から、第二期総合戦略の自然増への具体的な取組みは地方創生推進会議で検討し、県議会の意見も踏まえ、第二期総合戦略を取りまとめるとの答弁があった。
 少子化や人口減少は国も有効な対策を示せない中、県としても目標の達成に必要な施策を幅広く打ち出し、PDCAサイクルで効果を検証し、効果の低いものは見直して新たな施策に取り組むべきである。
 そこで、第2期総合戦略の策定に当たり、合計特殊出生率の向上のために、具体的にどのように取り組んでいこうと考えているのか、所見を伺いたい。

 

(知事答弁)
 菅原議員の御質問に順次お答えします。
 はじめに、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略における合計特殊出生率向上のための取組についてお尋ねがありました。
 本県ではこれまで、第1期総合戦略の中で、結婚から育児までの切れ目ない支援や、女性の活躍支援などを進めてきました。
 しかし、2018年の本県の合計特殊出生率は1.33と、ここ数年横ばいとなっており、また、出生数は66,564人と、5年前に比べ7,756人減少しており、少子化が進んでいます。
 国がまとめた報告書では、少子化対策には、保育所の整備や、長時間労働の是正、通勤時間の短縮、若い世代の経済的安定の確保等が重要であると示唆されています。
 そこで、第2期総合戦略においては、子育て環境の充実や、働き方改革の推進、若者の就業支援などに一層取り組むことで、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえていきます。
 具体的には、子育て環境の充実策の一つとして、保育人材の確保、育成を進めるため、新たに保育所等へコンサルタントを派遣し、保育現場の働き方の課題等を把握した上で、保育士等の働きやすい職場づくりを支援していきたいと考えています。
 また、働き方改革を推進するため、中小企業等を対象に専門家の派遣や体験セミナー等を実施し、通勤時間短縮の視点も踏まえたテレワークの導入を促進していきます。
 さらに、若い世代の経済的安定の確保に向け、不本意ながら非正規で働く若者に対し、キャリアカウンセリングや、実践的な職場体験を実施するなど、若者の就業支援にも着実に取り組みます。
 そして、こうした施策の進捗状況について、重要業績評価指標、いわゆるKPIなどを基に、毎年度評価を行い、必要な改善や見直しを図って、より効果的なものとしていきます。
 人口減少に歯止めをかけるには、長い期間を要しますが、若い世代の希望をかなえ、2024年度に合計特殊出生率1.42の目標を達成すべく、市町村や企業とも連携して、全庁を挙げてしっかりと取り組んでまいります。

 

(要望)
 時間の許す限り、私から要望をお伝えさせていただければと思います。
 まず、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略における合計特殊出生率の向上のための取組についてであります。
 現在、日本全体でこの人口減少と高齢化という、大変に大きな課題が突きつけられていると思います。本県も例外ではなく、その課題を乗り越えていかなければ、県の出生数も人口もそして経済規模も、それこそ税収も減少に追い込まれていくことが予想されます。
 様々な原因があるのは承知をしております。また、内閣府が出されております「令和元年度版少子化社会対策白書」の中に、若者世代の所得分布は低所得層にシフトしている。また、同白書内に、男性の年収別有配偶率を見ると、いずれの年齢層でも一定水準までは、年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高い傾向にある、ということが記載されておりますとおり、年収と配偶率の関係性が指摘されました。
 だからこそ、結婚をしたくても所得が低くてできない若者に向けた対策にも、力を入れていただきたいと考えます。
 先ほども申し上げましたとおり、県内でも成功した実例が少ない現状がありますので、これまで以上に知事にイニシアティブをとって、あらゆる手段を用いて、解決に向けてご尽力をいただけますようご要望させていただきます。
 また、最後に知事から力強い答弁をいただきましたので、今後も注視させていただきたいと思います。

 

 

(質問要旨)
2、特殊詐欺対策について

 

 昨年の県内の刑法犯認知件数は、平成14年から比較すると約78%まで減少しているが、特殊詐欺の認知件数は過去最悪を更新しており、特殊詐欺の被害者のほとんどが高齢者である。
 県では、これまで特殊詐欺を撲滅するため、県民総ぐるみの運動を展開してきたが、特殊詐欺の犯行グループは手口を巧妙に変化させ、多くの方が被害に遭っているのが実態である。
 一方、県内の大和市や愛川町では、特殊詐欺被害防止対策として迷惑電話防止機能を有する機器の購入に補助金を交付する制度を創設している。
 県もそうした機器の設置促進を図るため、令和2年度当初予算案に特殊詐欺被害防止対策事業費を計上したが、この取組で特殊詐欺被害を抑止するには、多くの人へ機器を普及することが重要である。
 そこで、特殊詐欺防止対策事業をどのように進めていくのか、所見を伺いたい。

 

(知事答弁)
 次に、特殊詐欺対策についてお尋ねがありました。
 特殊詐欺は、被害者の貴重な財産を奪い去るだけでなく、被害者に大きな精神的ショックを与える、極めて悪質な犯罪です。
 そこで私は平成26年に、振り込め詐欺犯罪防止特別宣言を行い、市町村や関係機関・団体等と連携して、徹底した啓発に取り組んできました。
 しかしこの間も、特殊詐欺の手口は、ますます巧妙化しており、昨年の県内における認知件数は2,790件と、過去最悪となっています。
 特殊詐欺被害は、ほぼ全て、固定電話にかかってくる一本の電話から始まります。被害に遭わないためには、犯人グループがかけてくる電話に絶対に出ないことが、何よりも重要です。
 そのため県は、県警察と連携して、高齢者を中心とした県民の皆様に、迷惑電話防止機能を有する機器の導入を啓発していますが、被害額は50億円を超えるなど、依然として深刻です。
 そこで県は、来年度当初予算案に、約1,000万円を計上し、こうした機器の購入費用について、新たに支援していきたいと考えています。
 具体的には、令和4年度までの3か年に限って、高齢者を対象に、市町村が行う、迷惑電話防止機能を有する機器の設置促進に対して、県は1台当たり3,000円を上限とする補助を行い、来年度は3,500台の補助を予定しています。
 県は、これまでの普及啓発の取組をさらに強化するとともに、こうした新たな取組に着手することで、引き続き、市町村や県警察としっかりと連携して、県内の特殊詐欺被害ゼロを目指してまいります。

 

(要望)
 次に、特殊詐欺対策についてであります。
 これまでの常任委員会や決算特別委員会の中で、迷惑電話防止対策機器が非常に有用な手段であることは承知しております。
 だからこそ、今回の令和2年度版予算案の中にも組み込んでいただいたものだと考えます。ただ、今回の施策では、市町村との連携は、欠かせないと思いますので、是非、市町村との協働歩調により、支給拡大に向けて取り組んでいただきますよう、要望いたします。

 

 

(質問要旨)
3、納税者の納税しやすい環境整備について

 

 自動車税は、課税件数が大変多い税目で、県税収入に占める割合も個人県民税、地方消費税、法人二税に次ぐ規模であり、本県の財政運営上の貴重な財源となっている。
 国では、少子高齢化や人口減少に伴う生産性向上を目的に、「キャッシュレス決済」を推進し、スマートフォン等でインターネットやアプリケーションを活用した新たなスキームを構築しており、こうした媒体での収納は、支払いに行くという感覚ではなく、その場で決済を行うことができるというメリットがあり、増加傾向にある。
 納期内納付は当然の義務ではあるが、収入率を上げるためには、まずは納期内に納めていただくことが重要であることから、納税者利便の向上に向けた取組が必要と考える。
 そこで、本県の貴重な財源である自動車税について、納税者の納税しやすい環境整備にどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

 

(知事答弁)
 最後に、納税者の納税しやすい環境整備についてお尋ねがありました。
 自動車税は、毎年約250万件もの課税をすることから、納税者が納税しやすい環境を整備することが重要です。
 県ではこれまで、平成16年度にコンビニ納税、26年度にクレジット納税、27年度にATMやネットバンキングによるペイジー納税、30年度にLINE Payによる納税を順次開始し、税金を納めやすい環境の整備を進めてきました。
 こうした取組により、県の自動車税の納期内納付率は、件数ベースで、コンビニ納税開始前の71.8%から平成30年度には83.0%にまで上昇しましたが、納期内納付率を上げるためには、引き続き、納付方法の更なる拡大に向けた検討が必要であると考えています。
 近年、スマートフォンやタブレットの普及が進み、納税者のライフスタイルも多様化しています。
 特に、昨年10月の消費税率の引き上げを契機にキャッシュレス化が進展し、スマホ等によるキャッシュレス決済の利用者も増加してきています。
 また、大手銀行などは、厳しい経営環境やデジタル技術の進展を背景に、店舗の縮減に向けた抜本的な見直しに動きだしており、納付書で納付できる銀行窓口も限定されてきています。
 こうした中、今後もますます、特定の場所や時間帯に縛られない納付方法へのニーズが高まるものと認識しています。
 そこで、LINE Pay以外でも、スマホ等によるキャッシュレス納付ができるよう、準備を進めています。
 今後も引き続き、納税者利便に向上に向けて、納付方法の拡大に向けて取り組んでまいります。
 答弁は以上です。

 

(要望)
 現段階でのLINE Payでの収納割合は髙くはありませんが、今のキャッシュレス決済の機運は非常に高まっていると思います。
 私自身も昨年よりアプリケーションでのキャッシュレス決済を利用させていただきております。私がキャッシュレス決済を利用し始めた頃には、様々なアプリケーションでのサービスがありましたが、最近の情勢をみると、一定程度、シェアが上位事業者に絞られてきたように感じます。
 納付しやすい環境整備という観点からも、一定程度のシェアを持つサービスでの納付も可能となるように、要望させていただきます。

 

 

(質問要旨)
4、子供の貧困対策について

 

 国の調査によると、平成27年の「子どもの貧困率」は13.9%であり、7人に1人の子供が貧困状態にある。
 こうした中、国は昨年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を一部改正し、11月には新たな「子供の貧困対策に関する大綱」を策定しており、本県でも、今年度中に「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」を改訂すると聞いている。
 子どもの貧困対策を実効性あるものとするためには、子どもの貧困問題に対する正しい理解を促進するとともに、家庭や行政だけでなく、地域が子どもの居場所を提供するなど、社会全体で子どもを支えることも必要であり、県と市町村との連携等も非常に重要となってくる。
 そこで、県として、どのような視点で、子どもの貧困対策推進計画を改定するのか。また、新しい計画に基づきどのように子どもの貧困対策に取り組んでいくのか伺いたい。

 

(福祉子どもみらい局長答弁)
 福祉子どもみらい局関係の御質問にお答えします。
 子どもの貧困対策についてお尋ねがありました。
 県では、平成27年に「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」を策定し、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の4つの主要施策を中心に、子どもの貧困対策に取り組んできました。
 具体的には、ひとり親家庭に支援情報を提供するポータルサイトは、年間約67,000件のアクセスがあり、10月の開設したSNS相談では、約750件の相談を受けました。
 さらに、高校中途退学者が、就労や進学などの進路を自ら決定することを支援するための相談窓口では、10月の開設以降、約80件の相談を受けました。
 子ども貧困率は、平成27年調査では、若干の改善は見られたものの、地域の関係性が希薄化する中、貧困状態にある子どもたちを地域で支えることが難しいといった現状があります。
 そこで、まず、計画改定の視点ですが、こうした課題や「かながわ子どもの貧困対策会議」からの提言も踏まえ、子どもの貧困対策に社会全体で取り組むという視点で、計画を改定していきます。
 次に、新たな計画に基づく県の取組についてです。
 これまで、県民やNPOを対象に、子どもの貧困について理解を深めるためのフォーラムや、地域の子どもの居場所づくりセミナーなどを実施してきましたが、今回の改定を踏まえ、社会全体で子どもの貧困対策に取り組むため、企業や経済団体向けのセミナーなどを充実させ、支援の輪をさらに広げていきます。
 また、県市町村連絡会議などを通じて、県の計画や先進事例の紹介、情報交換を行い、市町村における子どもの貧困対策の計画策定や取組を後押ししていきます。
 県としては、新たな計画に基づき、今後とも、市町村や県民、企業、NPO等と連携し、子どもの貧困対策を着実に進めることで、すべての子どもが、生き生きと暮らせる地域社会の実現を目指してまいります。
 私からの答弁は以上です。

 

(要望)
 次に、子どもの貧困対策についてであります。
 国の法改正と新大綱によって、市町村にも子どもの貧困対策推進計画の策定について、努力義務が課せられました。
 県としても、理解促進に努めていただくことにも力を入れていただきたいのですが、市町村への積極的なアプローチ、調整が県の役割であると思います。
 是非子どもの貧困対策推進計画の改定にあたっても、市町村との連携で実効性のあるものにしていただきますよう、要望させていただきます。

 

 

(質問要旨)
5、生産緑地の保全について

 

 生産緑地については、2022年に多くの生産緑地が指定から30年の期限を迎え、農地から宅地への転用が可能となる、いわゆる「生産緑地の2022年問題」に対応するため、平成29年に生産緑地法が改正された。県では、平成30年度から、生産者の営農意欲を喚起するとともに、県民の都市農業に対する理解の促進・農地の保全を図るため、生産緑地の多面的機能を強化する設備の整備等に対して、市と連携した補助事業を進めていることも承知している。
 しかしながら、生産緑地の所有者は着実に高齢化等が進み、このままでは耕作者がいなくなり、貴重な農地が失われてしまうことが危惧される。将来に渡って生産緑地を保全していくためには、周辺住民を含めた幅広い主体による利活用を図っていくべきである。
 そこで、生産緑地の保全に向けて、どのように取り組んでいくのか伺いたい。

 

(環境農政局長答弁)
 生産緑地の保全についてお尋ねがありました。
 県内には、現在、横浜市など19市に約1,300ヘクタールの生産緑地が指定されていますが、所有者は、指定から30年後に宅地転用が可能となる、いわゆる「2022年問題」に直面し、生産緑地として残すか、宅地転用するか、その対応に頭を悩ませています。
 生産緑地は、新鮮な農産物を供給するだけでなく、貴重な緑を提供し、災害時の避難場所にもなるなど、多面的な機能を有していますので、市街化が進んでいる本県では、今後も保全していく必要があります。
 そうした中、平成29年の生産緑地法の改正により、「特定生産緑地制度」が創設されました。これは、指定期間を10年ごとに延長し、所有者が税制上の優遇措置を受けて、営農を継続できる制度です。
 このため県では、生産緑地の保全にはこの制度の活用が有効と考え市町やJAと連携して、所有者に活用していただけるよう、研修会や営農を継続するための施設整備への支援などを進めてきました。
 しかし、所有者の中には、高齢化や後継者不足から、営農の継続に不安を抱かれ、制度の活用を躊躇されている方もいますので、こうした所有者への支援が必要です。
 そこで県では、平成30年に都市農地賃借法の制定によって創設された、「生産緑地を賃借できる仕組み」を活用した取組みも行います。
 この仕組みでは、所有者は自ら耕作しなくても、貸している期間は税制上の優遇措置を受けられますので、県は、今後、市町と連携して、生産緑地を貸したい意向のある所有者と、市街地での規模拡大を希望する借り手とのマッチングを進めます。
 また、この仕組みは、市街地でのニーズが高い市民農園にも活用できますので、参入を希望する民間事業者の開設を支援するとともに、市民からの相談にも応じるなど、利活用を促進していきます。
 県では、このような営農継続への支援と、幅広い主体による利活用の促進により、生産緑地を保全し、本県都市農業の持続的な発展を図ってまいります。

 

(要望)
 国や県の対応によって、生産緑地の2022年問題に対応することができるような法や制度の整備ができているのではないかと推察する。あとは、広く県民に周知を図っていただき、地域の方々が農地を借りやすい状況をつくること、同時に貸す側への理解を求めていくことが必要であると考える。広域行政である県の役割の一つは、市町村との調整であると思う。是非、そうした観点にも力を入れていただき、市町村域をまたいだ賃借にも取り組んでいただくことを要望する。

 

 

(質問要旨)
6、かながわ消防初動対応力強化に向けた取組について

 

 昨年も台風による暴風や豪雨が全国各地に甚大な被害をもたらすなど、本県でも、大規模な地震や津波、火災、集中豪雨、火山活動などといった災害への備えは大変重要な課題である。
 県では、平成28年に県内消防広域応援体制である「かながわ消防」をスタートさせ、県と県内消防本部による合同訓練を実施している。
 今年の訓練では「かながわ消防」の初動体制を強化するため、県と県内消防本部との情報共有ツールである「Kアラート」による情報受伝達訓練も行われていた。この「Kアラート」は、使用方法が現在普及しているLINEと遜色なく、他自治体でも、その有用性から導入が進んでおり、「かながわ消防」の応援部隊が迅速に出動し力を発揮するためにも、この仕組みが大変重要であると考える。
 そこで、大規模災害に備え、「かながわ消防」の初動対応力を強化するために「Kアラート」をどのように活用していくのか、伺いたい。

 

(くらし安全防災局長答弁)
 くらし安全防災局関係の御質問にお答えします。
 かながわ消防初動対応力強化に向けた取組についてお尋ねがありました。
 県は平成28年度に、全国で初めて、かながわ消防の仕組みを構築しました。
 この仕組みは、大規模な火災や土砂崩れなど、単独の消防本部では、対応が困難な災害が発生した際に、知事の要請に基づき、県内消防本部が一丸となって、被災地で救出救助活動などを行うものです。
 かながわ消防が有効に機能するためには、県と県内消防本部が災害をいち早く覚知し、被害状況を正確に把握する、いわゆる初動対応が何よりも重要です。
 これまでは、被災地消防本部から県への応援要請や、県から各消防本部への連絡は電話で行い、被害状況はファックスを通じて共有するルールとしており、初動対応にかかる時間が、大きな課題となっていました。
 そこで県は今年度、LINEのビジネス向けアプリであるLINE WORKSを活用し、タブレット端末で、県と県内消防本部の情報受伝達を一瞬で行える、通称Kアラートを構築し、昨年10月から試行運用しています。
 昨年の台風19号における対応では、土砂災害の現場で刻一刻と変化する状況を、Kアラートを通じ、県と県内消防本部間で共有しました。その情報受伝達に要する時間は、圧倒的に短縮されました。
 また今月、消防学校の災害救助訓練施設で実施した、かながわ消防訓練では、Kアラートを活用した初動の情報受伝達を組み込んで、救出救助活動との連携を確認しました。
 県としては、今後、Kアラートの本格運用に向け、より詳細なルールを定めるなど、いざという時に、かながわ消防が迅速に機能するよう、引き続き、県内消防本部と連携しながら、初動対応力の強化にしっかりと取り組んでまいります。
 私からの答弁は以上です。

 

 

(質問要旨)
7、教員採用試験における優秀な教員人材の確保について

 

 昨年12月に文部科学省が公表した令和元年度公立学校教員採用選考試験の実施状況によると、小学校に限らず、中学校、高等学校においても受験者数が減少し倍率が低下している。本県においても、過去3年間の倍率は徐々に低下しており、採用予定者数はほぼ横ばいであるにおかかわらず、応募者数は毎年1割程度ずつ減少している。
 現在、教育委員会では、県内外の大学等に赴き、神奈川県の教員として働くメリットや研修の支援プログラムなどの説明を行い、受験者の確保に向けて多大な努力を払っているが、このような状況のなか、将来を見据え、神奈川県の教員として優秀な人材の確保に向けた対策を中長期的な計画で検討していく必要があると考える。
 そこで、今後も継続して、優秀な教員人材を確保していくための方策について、所見を伺いたい。

 

(教育長答弁)
 本県では、これまで優秀な教員の確保のため、年齢制限の撤廃や教職経験者等への特別選考の実施など、採用試験の改善に取り組んできました。
 また、より多くの方に、本県の教員を志願してもらえるよう、例えば今年度の採用試験に向けては、県内外10カ所で志願者説明会を開催したり、全国の大学延べ107校に赴き説明会を実施するなど、広報活動にも努めてきたところです。
 しかし、今後も教員の大量退職が見込まれる中、優秀な人材を確保するためには、本県教員を目指す受験者を安定的に確保していく必要があります。
 そこで、県教育委員会では、来年度から大学説明会への参加者を、就職活動に入る3・4年生に加え、教員を目指す1・2年生も参加できるようにしていきます。
 また、高校生の段階から、本県教員を目指してもらうため、総合教育センターで平成27年から開催している「高校生のための教職セミナー」の実施に加え、教育局の職員が県立高校等に出向き、教職に就く魅力や、採用後の研修の様子などを直接伝える場も設定していきます。
 さらに、教員採用候補者選考試験の情報を、フェイスブックに加えて、新たにツイッターを活用して発信していきます。
 そして、こうした取組と併せて、教員の働き方改革や、ハラスメントのない魅力ある学校づくりを進め、本県教員を目指す優秀な人材の確保に引続き全力を挙げてまいります。

 

菅原あきひと